「転厩で心機一転」「環境が変わって一変」——厩舎替わりは馬柱でよく目を引く変化ですが、 買い材料になるのでしょうか。当サイトが蓄積している13場(船橋・大井・浦和・川崎・門別・高知・園田・佐賀・名古屋・笠松・金沢・盛岡・水沢)の全レースで、同じ競馬場内で調教師が前走から替わった馬(転厩初戦)の複勝率(3着以内率)を実測しました。各出走の時点より前の情報だけで判定しています(後出しなし)。
結論: 転厩初戦は「買い」ではなく割引。しかも2〜3走目でも戻りきらない場が多い
同厩舎で4走以上継続している馬を基準にすると、転厩初戦の複勝率は10場で明確に低く(船橋-10.9pt・大井-8.7pt・浦和-7.6pt・川崎-9.1pt・門別-18.3pt・高知-8.5pt・園田-8.6pt・佐賀-5.8pt・名古屋-12.7pt・金沢-3.0pt)、 最大の門別では-18.3ptの差がつきました。「転厩=一変」を期待して初戦から買うのは、実測上は損な賭けです。 さらに転厩2〜3走目でも船橋・大井・浦和・川崎・門別・高知・園田・佐賀・名古屋・金沢・盛岡ではまだ基準より低く(笠松・水沢はほぼ回復)、「新しい環境に慣れるまで数走かかる」形が数字に出ています。
笠松
+5.0
盛岡
−0.2
水沢
−0.9
金沢
−3.0
佐賀
−5.8
浦和
−7.6
高知
−8.5
園田
−8.6
大井
−8.7
川崎
−9.1
船橋
−10.9
名古屋
−12.7
門別
−18.3
場別の実測(転厩フェーズ×複勝率)
| 場 | 区分 | 出走数 | 勝率 | 複勝率(3着内) |
|---|---|---|---|---|
| 船橋 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 532 | 5.3% | 18.0% |
| 船橋 | 転厩2〜3走目 | 650 | 5.8% | 20.6% |
| 船橋 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 16,485 | 9.5% | 28.9% |
| 大井 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 285 | 5.6% | 15.8% |
| 大井 | 転厩2〜3走目 | 482 | 7.1% | 18.7% |
| 大井 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 32,818 | 8.0% | 24.5% |
| 浦和 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 503 | 6.0% | 19.7% |
| 浦和 | 転厩2〜3走目 | 638 | 5.8% | 20.5% |
| 浦和 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 14,951 | 9.1% | 27.3% |
| 川崎 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 505 | 7.1% | 17.8% |
| 川崎 | 転厩2〜3走目 | 557 | 6.6% | 19.9% |
| 川崎 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 17,765 | 8.6% | 26.9% |
| 門別 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 138 | 4.3% | 11.6% |
| 門別 | 転厩2〜3走目 | 229 | 3.5% | 14.8% |
| 門別 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 25,087 | 9.8% | 29.9% |
| 高知 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 100 | 5.0% | 21.0% |
| 高知 | 転厩2〜3走目 | 182 | 5.5% | 24.7% |
| 高知 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 29,664 | 9.6% | 29.5% |
| 園田 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 397 | 7.1% | 20.9% |
| 園田 | 転厩2〜3走目 | 681 | 6.0% | 22.5% |
| 園田 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 39,665 | 9.6% | 29.5% |
| 佐賀 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 161 | 7.5% | 22.4% |
| 佐賀 | 転厩2〜3走目 | 270 | 7.4% | 24.4% |
| 佐賀 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 31,925 | 9.0% | 28.2% |
| 名古屋 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 185 | 4.3% | 14.1% |
| 名古屋 | 転厩2〜3走目 | 296 | 5.1% | 14.9% |
| 名古屋 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 38,685 | 8.7% | 26.8% |
| 笠松 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 96 | 10.4% | 38.5% |
| 笠松 | 転厩2〜3走目 | 153 | 9.8% | 32.7% |
| 笠松 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 22,027 | 10.6% | 33.5% |
| 金沢 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 162 | 10.5% | 29.6% |
| 金沢 | 転厩2〜3走目 | 274 | 8.0% | 26.6% |
| 金沢 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 21,913 | 10.4% | 32.6% |
| 盛岡 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 185 | 9.2% | 28.1% |
| 盛岡 | 転厩2〜3走目 | 292 | 5.5% | 26.0% |
| 盛岡 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 16,612 | 9.0% | 28.3% |
| 水沢 | 転厩初戦(調教師が前走から替わった) | 179 | 8.4% | 27.9% |
| 水沢 | 転厩2〜3走目 | 285 | 9.5% | 29.5% |
| 水沢 | 同厩舎で4走以上継続(比較基準) | 17,771 | 9.2% | 28.8% |
※出走数50未満の区分は表示していません(母数不足)。
表の読みどころ
- 「転厩=不調のサイン」という交絡がある。 順調に勝っている馬はわざわざ厩舎を替えません。転厩する馬にはもともと不調・伸び悩みの馬が多く、 この数字は「転厩したから走らない」という因果を示すものではありません。それでも 「転厩初戦を成績どおりに評価すると過大になりやすい」という馬券上の実用は変わりません。
- 環境の変化はすぐには効かない。 調教方針・飼葉・コース追いの変化に馬が適応するには時間がかかる、という現場でよく言われる話と整合的に、 2〜3走目でも基準に届かない場が残ります。「転厩後の上積み」を買うなら、初戦ではなく 走りが安定してから——が実測に合った読み方です。
- 当サイトのスコアリング予想はこの割引を織り込み済み。 転厩フラグそのものを検証したところ、既存の評価項目(調教師の実測率・騎手×調教師コンビ・出走間隔など)が この信号を間接的に吸収しており、単独項目としての上積みはありませんでした。AI予想には 「その場の転厩初戦の実測」を材料として渡しています。
この表の注意点(正直な但し書き)
- 「転厩」は同じ競馬場内で調教師が前走から替わったことを指します。他の競馬場から 厩舎ごと移ってきた馬(転入)はこの表には入りません(転入はまた別の切り口なので、稿を改めます)。
- 南関4場は調教師ID・門別/高知は調教師名で判定しています(表記揺れによる誤検出を避けるため)。
- 複勝率=3着以内に入った割合。すべて出走数(分母)併記の実測値で、毎朝の最新データで自動更新されます。
当サイトのスコアリング予想の仕組みは理論ページを、日々の的中実績は実績ページをご覧ください。
どう数えたか
- 転厩は、同じ馬の調教師キーが前走から変わったことで判定しています。南関4場は調教師IDで、それ以外の場は調教師名で判定します(表記の揺れによる誤検出を避けるためです)。
- 転厩初戦・転厩2〜3走目・同一厩舎4走以上に分けています。転厩の履歴が無い馬のキャリア初期を「転厩2〜3走目」に混ぜないよう、最後の転厩からの出走数を数えて分類しています。
- 出走数50未満の区分は表示していません(母数不足)。
この結論の限界
- 転厩の理由は分かりません。期待されて移る馬と、行き場を探して移る馬が同じ籠に入っています。平均の数字はその混合の結果です。
- 調教師名での判定は、改姓や表記の変更を転厩と誤認する可能性があります。IDで判定できる場との差はこの点に出ます。
- 転厩の効果と、転厩に伴う他の変化(騎手・使う距離・クラス)は分けていません。転厩初戦だけを取り出した数字ではありますが、原因が転厩だと言い切れるものではありません。