コラム / 競馬の「それ、ホント?」
その日「乗れている」騎手は、後のレースでも来るのか — 素の差は大きい。馬と騎手をそろえると小さくなる
公開 2026-10-13 ・ 数値は毎朝の最新データで自動更新(最終更新 2026-10-13)
前半のレースで勝った騎手を見て「今日は乗れている」と考え、後のレースでもその騎手の馬を重く見る——よく聞く考え方です。そこで11場の192,151騎乗を、同じ日・同じ場のそれより前のレースで、その騎手がどんな成績だったかで4つに分けて数えました。その日の最初の騎乗は分けようがないので入れていません。
素の数字では、勝っている騎手がずっと高い
| その日の前のレースまで | 3着内率 | 馬のそれまで | 騎手のふだん |
|---|---|---|---|
| まだ3着内なし76,946騎乗 | 23.2% | 30.2% | 24.8% |
| 3着内あり・未勝利62,204騎乗 | 28.2% | 36.3% | 30.2% |
| 1勝40,789騎乗 | 32.4% | 40.2% | 34.3% |
| 2勝以上12,212騎乗 | 39.3% | 47.7% | 41.3% |
その日すでに1勝している騎手の後の騎乗は3着内32.4%、まだ3着内のない騎手は23.2%で、差は+9.2pt。通説どおりに見えます。ただ、表の右2列を見ると、乗っている馬の「それまでの3着内率」がすでに+10.0pt、騎手のその場での「ふだんの3着内率」も+9.6pt違います。その日に勝つのはもともと成績の良い騎手が多く、後のレースでも強い馬に乗っている、ということです。
馬と騎手の帯をそろえると
そこで、乗る馬のそれまでの3着内率と、騎手のその場でのふだんの3着内率をそれぞれ3段階に分け、同じ帯どうしで素の3着内率を並べました。
| 馬 / 騎手それまでの3着内率 | 3着内なし | 1勝 | 2勝以上 |
|---|---|---|---|
| 馬 〜20%騎手 〜25% | 10.1%19,009 | 11.0%3,339 | —269 |
| 馬 〜20%騎手 25〜40% | 16.5%8,124 | 17.9%4,636 | 16.8%988 |
| 馬 〜20%騎手 40%〜 | 23.8%797 | 27.4%1,255 | 27.3%553 |
| 馬 20〜40%騎手 〜25% | 17.3%14,205 | 18.1%3,064 | 17.5%302 |
| 馬 20〜40%騎手 25〜40% | 25.0%10,228 | 24.6%6,708 | 26.9%1,539 |
| 馬 20〜40%騎手 40%〜 | 34.1%1,551 | 34.3%2,607 | 35.6%1,297 |
| 馬 40%〜騎手 〜25% | 30.9%8,588 | 30.9%2,400 | —245 |
| 馬 40%〜騎手 25〜40% | 39.9%11,202 | 41.2%9,199 | 42.8%2,684 |
| 馬 40%〜騎手 40%〜 | 53.9%3,242 | 53.3%7,581 | 53.2%4,335 |
同じ帯の中で「1勝」が「3着内なし」を上回ったのは9帯中6帯、下回ったのは2帯、同じだったのは1帯。上回った帯でも差は小さく、帯の大きさで重みをつけて平均すると、1勝の騎手の上乗せは+0.5pt(2勝以上なら+1.1pt)。素の+9.2ptの差のほとんどは、「乗れている」ことではなく、誰がどの馬に乗っているかの違いで説明されます。わずかに残る上乗せはプラス側ですが、大きさとしては小さなものです。
場別: 帯をそろえた差
場ごとに、素の3着内率と、帯をそろえた「1勝」と「3着内なし」の差を並べました(場ごとは母数が小さいので、1つの帯に100騎乗以上ある帯だけで平均しています)。
| 場 | 3着内なし | 1勝 | そろえた差 |
|---|---|---|---|
| 船橋 | 23.5%4,316 | 31.2%2,088 | +0.1pt |
| 大井 | 18.8%8,853 | 30.4%3,641 | +1.1pt |
| 浦和 | 22.3%4,197 | 31.9%1,738 | +2.4pt |
| 川崎 | 21.6%4,646 | 30.9%2,165 | −1.0pt |
| 門別 | 24.2%5,406 | 34.6%3,725 | −1.8pt |
| 高知 | 22.9%8,250 | 33.5%4,399 | +1.3pt |
| 園田 | 24.9%11,029 | 33.2%4,999 | −0.2pt |
| 佐賀 | 23.6%9,229 | 30.5%4,924 | +0.1pt |
| 名古屋 | 21.2%10,659 | 29.6%6,018 | +0.6pt |
| 笠松 | 28.5%5,263 | 36.1%3,315 | +1.1pt |
| 金沢 | 26.7%5,098 | 35.0%3,777 | −0.3pt |
素の数字では、どの場でも1勝の騎手の方がはっきり高く出ます。帯をそろえた差がプラスだったのは11場中7場で、川崎・門別・園田・金沢はマイナスでした。場によって向きもそろわず、「その日乗れている騎手を後のレースで上乗せする」と言えるほどの差は、どの場でも見当たりません。
この表の読み方と注意点
- 前半で勝った騎手の後の馬が来やすいのは事実ですが、それはもともと上位の騎手が強い馬に乗っているからで、その日の勝ちを理由に上乗せする根拠は、この集計からはほとんど出てきません。
- 騎手の「ふだん」は、その場でのその日より前の騎乗全体の3着内率です。騎手が乗ってきた馬の強さも混ざっています。
- 騎手の替わり方(前走からの乗り替わり)については「乗り替わりは割引か」で測っています。この記事は乗り替わりかどうかを揃えていません。
- 回収率(オッズ)は扱っていません。示しているのは「どれだけ来るか」であって「儲かるか」ではありません。人気・オッズは当サイトの予想には使っていません。
どう数えたか
- 対象は各場の結果データのうち、5頭以上が完走したレースの完走馬です。
- 同じ日・同じ場で、その騎手がそれより前のレース(レース番号が小さいレース)に1回以上乗っている騎乗だけを数えています。前のレースの成績で「まだ3着内なし」「3着内あり・未勝利」「1勝」「2勝以上」に分けました。別の場での騎乗は数えていません。
- 騎手名は減量の記号(☆・▲など)や所属の表記を外して比べています。
- 「馬のそれまで」は、その日より前のその馬の3着内率です(それまでに3走以上完走した馬のみ)。馬は馬IDで区別しています。
- 「騎手のふだん」は、その場でのその日より前の騎乗の3着内率です(その場で50回以上乗っている騎手のみ)。同じ日の結果はどちらにも入れていません。
- 帯は、馬が〜20%・20〜40%・40%〜、騎手が〜25%・25〜40%・40%〜の3段階ずつです。全場の「そろえた差」は、両方の区分が300騎乗以上ある帯だけを、1勝の騎乗数で重みをつけて平均しました。
- 場別の表は、「3着内なし」と「1勝」がどちらも1,000騎乗以上ある場だけを載せています。
この結論の限界
- これは関連であって、その日の勝ちが後の騎乗の成績を上げる(上げない)という因果ではありません。
- 帯は3段階の粗い分け方で、帯の中にも馬・騎手の力の差は残ります。クラス・距離・頭数も揃えていません。
- その日の騎乗数は騎手ごとに違い、騎乗の多い騎手ほど後のレースで「1勝」に入りやすくなります。この偏りは帯である程度吸収していますが、完全ではありません。
- 南関4場と、それ以外の場とでは馬の識別番号の体系が違うため、両者をまたいだ馬の履歴はつないでいません。