コラム / 競馬の「それ、ホント?」
コース巧者は本当か — 群で分けると差は出る。ただし大きな差の多くは続かない
公開 2026-11-02 ・ 数値は毎朝の最新データで自動更新(最終更新 2026-11-02)
「このコースは得意」は、予想でよく使われる言葉です。ここでは、同じ場の同じ距離を1つの「コース」と呼び、過去にそのコースで走れていた馬が、次もそこで走れるのかを数えました。使ったのは出走表の時点で分かる情報だけです。
過去の成績で分けると、次の走にも差が出る
今回と同じコースを3走以上、それ以外も3走以上走った馬を、2つの3着内率の差で分けました。15pt以上良ければ「得意」、15pt以上悪ければ「苦手」です。まず、何もそろえない素の率です。
| 区分 | 3着内率 | 勝率 | 直近の成績 |
|---|---|---|---|
| 得意40,193走 | 29.3% | 8.5% | 34.5% |
| 差なし60,920走 | 20.5% | 5.2% | 23.0% |
| 苦手28,553走 | 22.2% | 5.9% | 28.9% |
この表の差には、もともとの強さの違いが混ざっています。そこで同じ場・同じクラス・同じ直近の成績の帯の中で「得意」と「苦手」を比べると、差は+4.3ptでした。比べた2群の直近の成績は30.7%と30.7%で、ほぼそろっています。
この比べ方そのものに偏りがないかも確かめました。コースと関係のない分け方として、開催日が奇数の日と偶数の日で馬を「得意」「苦手」に分け、同じ計算をしました。差は−0.3ptです。関係のない分け方では差が出ないので、コースで分けた差は、この比べ方が生んだものではなさそうです。
比べる相手を変えると、大きさが変わる
コースの差を、距離と場に分けて見ました。同じ場で距離だけ違う走と比べると+2.7pt、同じ距離で場だけ違う走と比べると+6.0ptです。後者は他の場も走った馬に限られ、対象は得意3,527走・苦手3,526走と少なくなります。対象の馬が違うので、2つの差を足し引きはできません。
読者がいちばん使いやすい「ここで勝ったことがある」で分けると、差は+1.3ptでした。得意・苦手で分けたときより小さく出ます。
同じ馬で見ると、大きな差の多くは続かない
ここまでは馬の群どうしの比較です。次に、同じ馬で「得意」が続くのかを見ました。馬ごとに全履歴の真ん中の日付で前半と後半に分け、いちばん多く走ったコースとそれ以外の差を比べます。前後どちらでも両方を3走以上走った5,065頭のうち、前半の差が20pt以上あった2,332頭は、前半の平均の差が+36.9ptで、同じ向きに後半に残ったのは+2.1ptでした。
前半と後半の相関は、コースの差で0.05、3着内率そのもので0.44です。3着内率そのものは前半と後半である程度そろいますが、コースの差はほとんどそろいません。差の大きい馬を選んでいるので前半には偶然の上振れが含まれますし、差は少ない走数から作る2つの率の差なので、ばらつきも大きくなります。上の「得意」と「苦手」の群の差とは比べ方が違うので、数字を並べて足し引きはできません。
差の大きさは場で違う
数字の表(件数つき)
| 場 | 得意−苦手 | 対照 |
|---|---|---|
| 水沢得意2,570走・苦手2,039走 | +10.3pt±1.3 | +1.9pt±1.2 |
| 門別得意2,153走・苦手1,343走 | +8.4pt±1.5 | +1.3pt±1.2 |
| 盛岡得意1,966走・苦手1,953走 | +8.4pt±1.4 | −1.0pt±1.1 |
| 高知得意3,963走・苦手3,776走 | +4.7pt±1.0 | ±0.0pt±0.9 |
| 園田得意4,577走・苦手2,086走 | +4.6pt±1.2 | −0.6pt±0.8 |
| 浦和得意2,002走・苦手741走 | +4.3pt±1.7 | −1.2pt±1.3 |
| 名古屋得意3,987走・苦手3,904走 | +3.5pt±0.9 | +0.7pt±0.8 |
| 川崎得意1,881走・苦手973走 | +3.2pt±1.6 | −0.3pt±1.2 |
| 船橋得意1,237走・苦手909走 | +3.1pt±1.8 | +0.5pt±1.2 |
| 笠松得意3,103走・苦手1,967走 | +2.8pt±1.3 | −2.2pt±1.1 |
| 大井得意3,086走・苦手1,656走 | +2.6pt±1.2 | −0.6pt±0.9 |
| 佐賀得意4,297走・苦手3,639走 | +2.0pt±0.9 | −1.4pt±0.8 |
| 金沢得意3,197走・苦手2,421走 | +1.8pt±1.2 | −0.5pt±1.1 |
表に載せた13場すべてでプラスです。大きいのは水沢+10.3pt・門別+8.4pt・盛岡+8.4ptで、いちばん小さいのは金沢の+1.8ptでした。対照の差は場別に−2.2pt〜+1.9ptの幅に収まります。場ごとの差の理由は、この集計からは分かりません。
この表の読み方と注意点
- 「コース実績のある馬」の群には差があります。ただし、1頭の成績表の大きな差をそのまま「巧者」と読むと言い過ぎになります。走数が少ないほど、差はばらつきで大きく見えます。
- 「得意」は、これから走る力の説明ではなく、過去の成績の分け方です。
- 距離については「初めての距離は割引か」と「距離延長は不利か」で、回りについては「右回り巧者は本当か」で測っています。
- 回収率(オッズ)は扱っていません。示しているのは「どれだけ3着以内に来るか」であって「儲かるか」ではありません。人気・オッズは当サイトの予想には使っていません。
どう数えたか
- 対象は各場の結果データのうち、5頭以上が完走したレースの完走馬です。その走より前に5走以上ある馬を数えています。
- コースは、同じ場の同じ距離です。「得意」「苦手」は、その走より前の、今回と同じコースとそれ以外の3着内率の差が15pt以上ある馬です。どちらも3走以上ある馬だけを数えています。
- 直近の成績は、その走より前の直前10走までの3着内率で、帯は10%刻みです。
- 比較は、同じ場・同じクラス・同じ帯に両方が5走以上ある区分だけを、走数に応じた重みで平均しました。数字の表の±は、走を独立とみなしたときの標準誤差の目安です。
- 対照は、過去の走を、今回の開催日と日付の奇数・偶数が同じ走と違う走に分けて、同じ計算をしたものです。
- 「ここで勝ったことがある」は、同じコースを3走以上した馬を、そこでの勝利の有無で分けました。
- 前半と後半は、馬ごとに全履歴の真ん中の走の日付で分けました。「いちばん多く走ったコース」は全履歴で決めています。相関は−1から1の値で、1に近いほど前半と後半の数字がそろいます。
- 馬は馬IDで区別しています。同じ日の結果は、その日の分類に使っていません。場別の表は得意と苦手がそれぞれ300走以上ある場だけを載せています。
この結論の限界
- これは関連であって、コースが着順を決める原因であることを示すものではありません。
- 騎手・相手の強さ・馬場・時期はそろえていません。同じ距離でも、開催時期や馬場の状態が違う走が混ざっています。
- 同じ馬の走が何度も入っているので、±は実際より小さめです。
- 当サイトの結果データにある地方の場の走だけでつないでいます。南関4場と、それ以外の場とでは馬の識別番号の体系が違うため、両者をまたいだ移籍は追えていません。中央での走も入っていません。