コラム / 競馬の「それ、ホント?」
同じ厩舎の2頭出しは「勝負気配」か — 1頭ずつ見ると少し下がる。どちらが先かは騎手で読める
公開 2026-10-15 ・ 数値は毎朝の最新データで自動更新(最終更新 2026-10-15)
同じ調教師が同じレースに2頭を出してくると、「厩舎が本気」「どちらかは来る」と読みたくなります。そこで、地方競馬の2024年以降の36,733レースで、同じ厩舎から2頭以上が出ていた馬(99,070走)と、その厩舎から1頭だけで出ていた馬(275,703走)を比べました。あわせて、ちょうど2頭のときに「どちらかは来るのか」「どちらが先に来るのか」も数えています。
1頭ずつ見ると、2頭出しの方が少し低い
3着内率は2頭出しの馬が28.3%、1頭出しの馬が29.8%で、差は−1.5ptでした(勝率は9.1%と10.1%)。ふだんの力の違いを差し引くため、その馬のそれまでの3着内率(5走以上)で帯に分けて並べます。
| それまでの3着内率 | 2頭出し | 1頭出し | 差 |
|---|---|---|---|
| 〜15% | 13.1%16,688 | 13.5%44,520 | −0.4pt |
| 15〜30% | 20.0%18,527 | 20.7%50,235 | −0.7pt |
| 30〜45% | 26.2%15,710 | 27.7%41,121 | −1.5pt |
| 45%〜 | 40.4%17,933 | 43.1%45,250 | −2.7pt |
4つの帯のうち4つで2頭出しの方が低く、帯の大きさで重みをつけて平均した差は−1.3ptでした。差は小さく、「2頭出しの馬は割り引く」と言うほどではありません。ただ、少なくとも「2頭出しだから上積みがある」という形は数字に出ていません。
場ごとに見ても、向きはそろう
| 場 | 2頭出し | 1頭出し | そろえた差 |
|---|---|---|---|
| 船橋 | 27.4%4,057 | 28.9%17,777 | −0.1pt |
| 大井 | 22.4%6,800 | 25.8%30,865 | −0.9pt |
| 浦和 | 24.4%3,932 | 29.1%15,474 | −2.6pt |
| 川崎 | 26.6%4,117 | 27.7%18,916 | −3.3pt |
| 門別 | 27.1%6,039 | 30.9%22,174 | −4.0pt |
| 高知 | 29.4%11,370 | 31.0%20,504 | −1.1pt |
| 園田 | 23.8%5,441 | 30.8%39,060 | −3.8pt |
| 佐賀 | 28.4%11,703 | 29.6%23,674 | −0.8pt |
| 名古屋 | 26.9%13,950 | 27.3%29,031 | −0.1pt |
| 笠松 | 33.0%10,667 | 37.2%13,801 | −2.9pt |
| 金沢 | 33.3%9,858 | 33.9%14,568 | −1.8pt |
| 盛岡 | 28.6%5,260 | 30.3%14,563 | −0.9pt |
| 水沢 | 29.4%5,876 | 30.4%15,296 | −1.1pt |
帯をそろえた差は、13場のうち13場でマイナスで、プラスの場はありませんでした。どの場でも、2頭出しの馬が1頭出しの馬をはっきり上回る形にはなっていません。
「どちらかは来る」は、2頭ぶんの確率どおり
ちょうど2頭が出ていた40,844組で、少なくとも1頭が3着内に来たのは50.0%でした。それぞれの馬の帯の「1頭出し」の3着内率から、2頭が互いに関係なく走ったとして計算した見込みは50.0%で、ほぼ同じです。2頭そろって3着内に来たのは6.8%で、見込みの9.1%を−2.3pt下回りました。「2頭出しならどちらかは来る」は、2頭いるぶん確率が上がっているだけで、それ以上の上乗せは見えません。
どちらが先に来るかは、出走表で読める
2頭のうち、それまでの3着内率が10pt以上高い方が先着したのは64.4%(15,094組)。乗る騎手のその場での3着内率(そのレースより前)が10pt以上高い方が先着したのは63.5%(17,644組)でした。
| 見分け方 | 先着 | 上の馬 | 下の馬 |
|---|---|---|---|
| それまでの成績15,094組 | 64.4% | 35.5% | 18.3% |
| 騎手の成績17,644組 | 63.5% | 39.8% | 22.2% |
| 騎手(馬は同程度)3,534組 | 59.1% | 31.2% | 20.5% |
「上の馬」「下の馬」の列は3着内率です。騎手の差は、馬の成績の差と重なっているかもしれません。そこで、2頭のそれまでの3着内率の差が10pt未満(馬は同程度)の組だけで見ても、騎手の成績が上の方が59.1%(3,534組)で先着しました。半々より上ですが、41%ほどは逆になります。厩舎がどちらに上の騎手を乗せたかは、「どちらが本命か」を読む手がかりの一つにはなります。
この表の読み方と注意点
- 2頭出しの馬が少し下がる理由は測っていません。厩舎が2頭を出す事情(相手関係・出走の間隔・馬の状態)や、同じ厩舎の馬どうしで競り合うことなど、いくつもの可能性が混ざっています。
- 騎手の差が先着と結びつくのは関連です。上の騎手が乗ったから先着した、とまでは言えません(厩舎が状態のよい方に上の騎手を乗せている、という順番もありえます)。
- 乗り替わりそのものの数字は「乗り替わりは割引か」、その日乗れている騎手は「その日『乗れている』騎手は、後のレースでも来るのか」で測っています。
- 回収率(オッズ)は扱っていません。示しているのは「どれだけ来るか」であって「儲かるか」ではありません。人気・オッズは当サイトの予想には使っていません。
どう数えたか
- 対象は、当サイトが予想している地方競馬の2024年以降のレース(完走5頭以上)で、着順のある馬です。
- 厩舎は調教師で見分けています。調教師のIDが取れている場はIDで、取れていない場は出走表の調教師名で、同じレースの中だけで照合しました。
- 「2頭出し」は同じレースに同じ厩舎の馬が2頭以上いた場合です(3頭以上も含みます)。「どちらかは来るのか」「どちらが先に来るのか」は、ちょうど2頭だったレースだけで数えました。
- 「それまでの3着内率」は、その馬のそのレースより前の完走(全場)の3着内率です(5走以上の馬のみ)。騎手の成績は、そのレースより前の、その場での3着内率です(50騎乗以上のみ)。
- 帯をそろえた差は、両方の区分が30走以上ある帯だけを、2頭出しの走数で重みをつけて平均しました。場別の表は、2頭出しが500走以上ある場だけを載せています。
- 「見込み」は、2頭それぞれの帯の1頭出しの3着内率を使い、2頭が互いに関係なく走ったとして計算した値です。
この結論の限界
- これは関連であって、2頭出しであること自体が成績を上げる(下げる)という因果ではありません。
- 帯は4段階の粗い分け方で、帯の中にも力の差は残ります。クラス・距離・頭数・休み明けかどうかも揃えていません。
- 調教師名での照合は、同じレースに同じ略称の別の調教師がいると誤ります(同じレースの中だけで照合しているので、まれだと考えています)。
- 「馬は同程度」の組は数千組と少なめで、先着の割合は数ポイント振れることがあります。