コラム / 競馬の「それ、ホント?」
外枠の逃げ馬は不利か — 逃げられる割合は下がる。それでも3着内率は外が高い
公開 2026-11-05 ・ 数値は毎朝の最新データで自動更新(最終更新 2026-11-05)
「外枠の逃げ馬は、内の馬に先に行かれて先手を取れない」。展開を読むときによく言われることです。そこで13場の結果から、出走表の時点でふだん逃げている馬(主戦脚質が逃げ)の24,153走を、馬番の内・中・外に分けて数えました。分け方は出走表で分かる情報だけです。
外に入ると、逃げられる割合は下がる
まず、その日に実際に逃げられたかです。内の馬は44.5%、中は37.5%、外は33.6%。外に入ると、ふだん逃げる馬でも先手を取れる割合ははっきり下がります。ここまでは言われているとおりです。
それでも3着内率は外のほうが高い
ところが3着内率は、内の34.7%に対して外は39.6%で、外が上回る結果でした。逃げられる割合が下がっても、成績は下がっていません。
外に入った馬がもともと強かった、ということでもありません。各馬のそれまでの3着内率を「見込み」として並べると、内も外もほぼ同じ(49.0%と49.6%)です。見込みとの差は内が−14.3pt、外が−10.0ptで、外のほうが+4.3pt上です。
| 位置 | 実際に逃げた | 3着内率 | 見込み | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 内8,102走 | 44.5% | 34.7% | 49.0% | −14.3pt |
| 中7,474走 | 37.5% | 35.2% | 49.0% | −13.8pt |
| 外8,577走 | 33.6% | 39.6% | 49.6% | −10.0pt |
見込みとの差がどの位置でもマイナスなのは、成績の良かった馬ほど上のクラスに上がって相手が強くなるなど、成績が平均に戻る方向に動くためです。この記事では差そのものではなく、内と外の差の開きで読みます。
外枠そのものの差を差し引く
外が高いのは、逃げ馬に限らず外枠そのものが少し有利なだけかもしれません。そこで、ふだん逃げない馬でも同じように比べました。こちらも外が内を上回るものの、開きは+1.8ptでした。逃げ馬の開き(+4.3pt)は、これより+2.5pt大きくなっています。
数字の表(件数つき)
| 位置 | 実際に逃げた | 3着内率 | 見込み | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 内81,397走 | 9.3% | 24.8% | 31.7% | −6.9pt |
| 中74,560走 | 7.0% | 25.4% | 31.7% | −6.3pt |
| 外87,939走 | 6.0% | 26.9% | 32.0% | −5.1pt |
区分を変えても向きは同じか
見込みの高さ・頭数・ほかに逃げる馬がいるか・期間で分けて、外と内の差の開きを測りました。外が上回ったのは11区分中11区分です。
数字の表(件数つき)
| 区分 | 内の差 | 外の差 | 開き |
|---|---|---|---|
| 見込み〜20% | +12.1pt943走 | +14.5pt988走 | +2.4pt |
| 見込み20〜40% | −6.2pt2,279走 | −0.8pt2,372走 | +5.4pt |
| 見込み40〜60% | −16.2pt1,922走 | −10.6pt2,042走 | +5.6pt |
| 見込み60%〜 | −27.7pt2,958走 | −24.2pt3,175走 | +3.5pt |
| 8頭以下 | −9.7pt1,139走 | −3.7pt1,162走 | +6.0pt |
| 9〜11頭 | −13.5pt3,885走 | −9.7pt4,411走 | +3.8pt |
| 12頭以上 | −17.0pt3,078走 | −13.0pt3,004走 | +4.0pt |
| 逃げ馬1頭 | −10.6pt3,688走 | −6.4pt3,893走 | +4.2pt |
| 逃げ馬2頭以上 | −17.4pt4,414走 | −13.1pt4,684走 | +4.3pt |
| 前半の期間 | −14.7pt4,076走 | −8.8pt4,269走 | +5.9pt |
| 後半の期間 | −13.9pt4,026走 | −11.2pt4,308走 | +2.7pt |
逃げられなかったときの差
結果から分けると、差の出どころが少し見えます。実際に逃げた馬どうしでは、3着内率は内が48.5%、外が56.7%。逃げられなかった馬どうしでは、内が23.6%、外が30.9%です。ただしこの分け方はレースが終わってから分かるもので、出走表の時点では使えません。なぜそうなるのか(内で先手を取れなかった馬が包まれやすい、など)も、この数字だけでは確かめられません。
数字の表(件数つき)
| 位置 | 3着内率 | 見込み | 差 |
|---|---|---|---|
| 逃げた・内3,602走 | 48.5% | 51.1% | −2.6pt |
| 逃げた・中2,800走 | 49.8% | 49.8% | +0.0pt |
| 逃げた・外2,883走 | 56.7% | 50.8% | +5.9pt |
| 位置 | 3着内率 | 見込み | 差 |
|---|---|---|---|
| 逃げなかった・内4,500走 | 23.6% | 47.3% | −23.7pt |
| 逃げなかった・中4,674走 | 26.5% | 48.6% | −22.1pt |
| 逃げなかった・外5,694走 | 30.9% | 49.0% | −18.1pt |
場ごとに見ると
外の逃げ馬が内の逃げ馬を見込みとの差で上回ったのは13場中10場(上回らなかったのは川崎・金沢・水沢)。実際に逃げた割合が外で下がったのは13場中12場(下がらなかったのは園田)です。
| 場 | 逃げた 内→外 | 3着内 内→外 | 開き |
|---|---|---|---|
| 船橋398・321走 | 40→30% | 31→45% | +10.4pt |
| 大井678・701走 | 48→29% | 31→36% | +4.1pt |
| 浦和304・327走 | 42→32% | 44→47% | +3.5pt |
| 川崎436・456走 | 40→34% | 37→33% | −3.5pt |
| 門別613・667走 | 46→34% | 36→45% | +8.7pt |
| 高知852・951走 | 46→44% | 41→44% | +3.0pt |
| 園田1,070・1,171走 | 40→41% | 32→46% | +13.9pt |
| 佐賀859・923走 | 48→33% | 35→37% | +1.3pt |
| 名古屋714・702走 | 47→24% | 33→36% | +4.3pt |
| 笠松616・683走 | 49→27% | 33→39% | +4.4pt |
| 金沢743・808走 | 45→42% | 40→37% | −3.0pt |
| 盛岡414・434走 | 42→23% | 28→32% | +2.2pt |
| 水沢405・433走 | 38→26% | 29→32% | −0.7pt |
この表の読み方と注意点
- 「外枠だから逃げられない」は数字のうえでも起きています。ただ、逃げられないことが成績の割引に直結するわけではない、というのがこの集計の結果です。全体では、外の逃げ馬を外というだけで割り引く根拠は見当たりません(ただし川崎・金沢・水沢では外のほうが下回っています)。
- 単騎で逃げられるかどうかの話は「単騎逃げは鉄板なのか」、枠そのものの有利不利は「内枠有利は本当か」で測っています。
- 回収率(オッズ)は扱っていません。示しているのは「どれだけ来るか」であって「儲かるか」ではありません。人気・オッズは当サイトの予想には使っていません。
どう数えたか
- 対象は13場の結果データのうち、5頭以上が完走したレースの完走馬です(芝のレースは含めていません)。馬は馬IDで区別しています。
- 「主戦脚質が逃げ」は、その走より前の走で最も多かった位置取りが逃げだった馬です(それまでに3走以上ある馬だけ)。その走自身は使っていません。
- 位置は馬番を頭数で3つに分けました(1番から数えて頭数の3分の1までが内、3分の2からが外)。枠番は頭数によって意味が変わるので主には使っていません。
- 「実際に逃げた」は、その走で最初に記録された通過順位が1番手だったかどうかです(結果で分かる分類)。
- 「見込み」は、その走より前のその馬の3着内率です(それまでに3走以上完走した馬のみ)。
- 期間の前半・後半は、対象の走の日付の真ん中(2025-08-19)で分けました。区分ごとの表は、内・外がどちらも300走以上ある区分だけ、場別の表は200走以上ある場だけを載せています。
この結論の限界
- これは関連であって、外枠に入ることが成績を上げるという因果ではありません。
- 見込みは馬のそれまでの成績だけで作っていて、クラス・距離・騎手の違いは揃えていません。
- 距離ごと(最初のコーナーまでの長さ)には分けていません。場の中でも距離によって向きが違う可能性があります。
- 主戦脚質は位置取りの記録から判定していて、記録の無い走は数えていません。